美術館で一枚の絵画を前にする。
そこには、女性が裸体で乱舞している様子が描かれている。さも当たり前のように。
もしその姿に驚いたり、疑問を感じたとしても、重厚そうな建物の中で厳重に、美しいライトを浴びる作品を前に圧倒され、言葉にすることを諦める人も多いかもしれません。
そこで、この講座では、各回で美術鑑賞を行いじっくりと批評を行う方法を学んでいきます。
それは、今ある差別について考えたり、当時の画家たちが限界の中で目指していたものを想像したり、または昔の作品に潜むクィアな要素とその問題に気づくこととも言えます。
- 美術には興味があるけど、なにから知ればいいのかわからない……。
- 美術を観てもよくわからないし、そもそも美術に触れる機会がない……。
- 美術の世界は古い権威性が強すぎたり、異性愛中心的すぎたり、男性による眼差しが強すぎたりで、とっつきにくい……。
こんなお悩みをお持ちの方に向けて、本講座は美術を読み解く鍵である「美術鑑賞」の基礎をクィア&フェミニズムの視点から考えていきます。
美術を観る目が変わる、濃密な全3回です!
近藤銀河
1992年、日本で生まれる。アーティスト、ライター、研究者、パンセクシャル、車いすユーザー。
彼女は主に女性同性愛と美術の関係をテーマに研究を行い、作品を発表している。作品では3Dプリンタや、CG映像、そしてVRなどを用いて、マイノリティと歴史の関係を問うている。ライターとしてフェミニズム、クィアの観点からサブカルチャーに関する寄稿を多数行っている。
第1回「西洋美術を鑑賞しよう!」
4月1日(土)14:00-15:00
西洋美術を観に行くと、女性の裸体がたくさんあります。「一体どうして…? 」とか「これは差別なのか…?」と、さまざまな疑問が湧いてきても、それに答えてくれる美術館は少ないです。そんなとっつきにくい西洋美術をフェミニズムの視点から捉え直します。
第2回「ジャポニズムの作品を鑑賞しよう!」
5月6日(土)14:00-15:00
日本に影響を受けた19世紀の西洋の美術作品には、女性を主題にしたものが少なくありません。賞賛されることが多い、これらの作品を改めて鑑賞していきます。そこには「西洋から見た日本」という偏見と、「男性たちから見た女性」という偏見が二重に潜んでいるかもしれません。
あまり取り扱われてこなかった、19世紀の西洋美術から日本にむけられたオリエンタリズムの問題を考えていきます。
第3回「対話型美術鑑賞をやってみよう!」
6月3日(土)14:00-15:00
「対話型美術鑑賞」という手法があります。
作品を見ながら思ったことを口にして、みんなで理解を深めたり、鑑賞の新しいポイントを探っていく美術鑑賞の方法論のことです。そこでは専門家が一方的に話すのではなく、鑑賞者と作品がフラットに話していくことが目指されます。
とはいえ、全くフラットではないこの社会の中で、いきなり知らない人たちへ向けて、例えば「この作品は女性差別的だ」と発言をするのは勇気がいります。
そこで、この回ではフェミニストウェルカムな対話型美術鑑賞を行うことを目指し、参加者の皆さんと美術の問題を考えていきます。対話を通じて「どんな作品が今後考えられるか?」という未来の創造にも繋げてみましょう。
開講日:4月1日(土),5月6日(土),6月3日(土)
開講時間:14:00-15:00
受講料:¥3000/回
授業方法:zoomによるオンラインワークショップ
部分受講:可
・全て1ヶ月のアーカイブがつきます
・当日参加不可でも参加ができます