【オンライン】「恋の歌だけじゃない短歌教室」

【オンライン】「恋の歌だけじゃない短歌教室」

講師:川野芽生

天上に竜ゆるりると老ゆる冬われらに白き鱗(いろくづ)は降る(川野芽生)

冬の空に、年老いた一頭のドラゴンが、白く鱗を降らせるーー私たちは、その竜の、老いて衰えてもなお気高くひかる赤い目さえ見ることができるような気がする。

短歌は、その短い言葉の並びの中に、宇宙よりも広い箱庭を置き入れることができる。
あなたも、あなただけに見える景色を、短歌の形で世界に出現させてみませんか?

小説や詩のように、たくさんの言葉を重ねる必要はありません。

自分が自分らしい、使いやすいと思える言葉で、自分が見える世界、自分自身がすてきだ、かっこいい、かわいい、楽しい、悲しい、切ない、などのように心動いたことを描けばよいのです。

「恋の歌だけじゃない短歌教室」は、アセクシュアルのフェミニスト歌人による、今までの短歌のイメージにとらわれない短歌作りワークショップです。

講師は、うつくしく幻想的な世界を描いた短歌で知られる歌人、川野芽生。

今回は、二つのコースをご用意しました。

一つ目は、「歌会コース」

短歌初心者の方や、一首の歌を詠み、完成させることを掘り下げたい方はこちらがおすすめです。

歌会の場で、自作の短歌への多面的な批評を受け、歌をより磨いてゆくとともに、自分の歌や他者の歌を客観的に読む力を養います。

歌会では基本的に受講生の皆様にもどんどん喋っていただきます(チャットでもOKです)が、聞くだけにしたいという方もいらっしゃればご配慮します。

短歌初心者の方は初回講義と併せての受講をおすすめ致します。

【歌会コース日程】

初回講義90分(アーカイブ視聴※)
講師の自己紹介と、短歌の作り方。
アセクシュアルとしてフェミニストとして、幻想世界の読み手・書き手として、講師がどのように歌を作っているかを紹介します。
また、現代のすてきな歌を講師が解説しながら皆さんと鑑賞します。はじめて短歌に触れる人でも、優れた短歌とその優れた点がわかるようになることを目指します。

【宿題:短歌を作る(自由詠 テーマや決まりなく好きに短歌を作る)】
※こちらの授業は、2021年3月12日に行われた授業のアーカイブ映像です。

歌会1(自由詠)
10/6(水)19:30-21:30
歌会をします。
歌会とは、参加者が作った歌をもちより、みんなで意見を言い合う場です。提出してもらった歌を匿名で並べ、いいと思った歌に投票し、批評してもらいます。
それぞれの歌について、票を入れた人、入れていない人、及び講師からの批評を聞いていきます。
自作の歌に対する批評がもらえ、自分でも他の人の歌への批評ができるようになります。
他の人の短歌を鑑賞し、自分の短歌について他の人が話すのを聞くことで、いろいろな視点から短歌のよさや改善点がわかるようになります。
【宿題:短歌を作る(題詠 事前に決められたテーマ・題に沿って歌をつくる)】

歌会2(題詠)
11/3(水)19:30-21:30
次はお題ありの歌会です。
決まった題から歌を作ることは、発想力のストレッチにもなります。
同じ題でも人によって様々な発想の歌が出てくることを楽しみましょう。

二つ目のコースは、「連作コース」です。

「一首の歌を作る」ことに慣れてきて、次は連作にチャレンジしてみたいという方、連作を作るのが苦手という方、新人賞や同人誌などに挑戦してみたいという方のためにご用意しました。

短歌は一首詠んで終わりではありません。
他の歌と並べることでまた違った魅力が見えてきたり、一首では地味に思えた歌が連作の中では実力を発揮し始めたりと、「並べる」ことで何倍にも楽しめるのです。

作った短歌を発表する時は、一首単位ではなく連作単位が多いもの。
せっかく作った歌を発表するためにも、「連作」を学んでみてはいかがでしょう。

このコースでは基本的に講師が喋る形式ですが、他の参加者の連作なども読んで参考にしていただけたらと思います。
Discordで他の参加者との交流もできます。
ご都合に応じて、講義のみ、連作講評会一回のみなどのご参加でも問題ありません。

【連作コース日程】

初回講義 
9/22(水)19:30-21:30
初回講義では連作の例などを見ながら、連作の作り方を学んでいきます。

連作「ヘレネ、手をつないでいて。」(川野芽生)
白鳥は軍船なれば集ひ来て啄めり岸にひらける傷を
天の堰をあふれて雪は降るものをつね犠牲(いけにへ)のイーピゲネイア
強ひられて嫁したるごとし 女(をみな)としてこの世へいたる閾(しきみ)越えにし
詩はあなたを花にたぐへて摘みにくる 野を這ふはくらき落陽の指
なべての詩を遁れあなたを庇ひたきをヘレネ、われさへもパリスの臣か
カサンドラの詞(ことば)さみしゑ凍月のひかりは地(つち)へ落ちつづけたり
月の頬うつくしからぬ岸にゐてをとめらよもろともに老いなむ

【宿題 5〜12首の連作を提出する】

連作講評会1 
10/20(水)19:30-21:30
提出していただいた連作の中からよいものや気になるものを取り上げて講師が講評していきます。
授業内で取り上げられなかったものについても、後日個別にコメントをお送りします。

【宿題 再び5〜12首の連作を提出する※】
※第二回の前に提出したものを、講評を踏まえてよりブラッシュアップしてもよし、あんまりうまくできなかったから最初から作り直して別のものを提出してもよし、第二回の時に出した連作はこれで完成として、二つ目の連作を作って提出してもよし。

連作講評会2 
11/17(水)19:30-21:30
再び、同様に講評します。
前回に比べてよくなったところや、作者の実現したい方向性などを踏まえてアドバイスします。
全三回の授業を通して一つまたは二つの連作の完成を目指します。

通常の歌会に参加したい方は歌会コース、
今まで歌会に参加してきて、そろそろ連作を作ってみたい方は連作コース、
連作を作るためにも歌を増やさなきゃ、という方は歌会コース+連作コースなど、
お好きなコースをお選びください。

【講座概要】

開講日:歌会コース【10/6(水)、11/3(水)】連作コース【 9/22(水)、10/20(水)、11/17(水)】
開講時間:19:30-21:30
受講料:歌会コース¥3000/回、連作コース¥6000/回
授業方法:zoomによるオンラインワークショップ
※全てアーカイブの配信もございます。
部分受講:可

【講師プロフィール】

川野芽生
歌人、小説家、大学教員。アセクシュアルのフェミニスト。
セクシュアルハラスメントを題材にした短歌連作「Lilith」で第29回歌壇賞受賞。2020年、第一歌集『Lilith』(書肆侃侃房)出版。翌年、同歌集にて第65回現代歌人協会賞受賞。
平安時代から「短歌といえば恋愛」と言われる中で、恋愛じゃない歌を追究している。
フェミニズムを題材にした歌、端正な文語を駆使した幻想・ファンタジー系の歌が得意。

代表歌

 思惟をことばにするかなしみの水草をみづよりひとつかみ引きいだす
 アヴァロンへアーサー王をいくたびも送る風あり千の叙事詩に
 天上に竜ゆるりると老ゆる冬われらに白き鱗(いろくづ)は降る
 harassとは猟犬をけしかける声 その鹿がつかれはてて死ぬまで
 詩はあなたを花にたぐへて摘みにくる 野を這ふはくらき落陽の指

【受講方法】

お申し込みはこちらから

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