「恋の歌だけじゃない短歌教室」第5期(全4回)講師:川野芽生

講師:川野芽生

天上に竜ゆるりると老ゆる冬われらに白き鱗(いろくづ)は降る(川野芽生)

冬の空に、年老いた一頭のドラゴンが、白く鱗を降らせるーー私たちは、その竜の、老いて衰えてもなお気高くひかる赤い目さえ見ることができるような気がする。

短歌は、その短い言葉の並びの中で、宇宙よりも広い箱庭を作り上げることができる。

あなたも、あなただけに見える景色を、短歌の形で世界に出現させてみませんか?

私たちは、普段使っている言葉を、また聞いたり読んだりしている言葉を、どれだけ理解しているでしょうか。

言葉には、それを発した人さえ意識していないほどの意味や力があり、それが心を動かし、ものの見え方を変える魔法になることもあれば、他者への呪いや自分への呪縛になることもあります。

私たちは言葉を使って世界を理解し、その理解に基づいて行動しているのだから、言葉によって世界を変えることもできるはず。

そんな力を秘めた言葉の世界を、一緒に探検してみませんか。

「恋の歌だけじゃない短歌教室」は、アセクシュアルのフェミニスト歌人による、今までの短歌のイメージにとらわれない短歌作りワークショップです。

講師は、うつくしく幻想的な世界を描いた短歌で知られる歌人、川野芽生。

短歌の読み方、作り方を、講座2回と歌会(ディスカッション)2回を通して楽しく学びましょう。

こんな人におすすめ

・言葉を研ぎ澄ましたい人
・短歌を通じて、普段見ている世界を新しく捉え直したい人
・フェミニズムやクィアの詩・短歌・文学に興味がある人
・自分の幻想や想像を言葉にしてみたい人
・恋愛の歌(相聞)や自然の歌、日常の歌以外に短歌にできることを知りたい人
・初心者から、今まで一人で短歌を作っていた人、経験者まで歓迎です

スケジュール・講座内容

第1回 5月25日(水)
講義その1。

まず「読む」ことから。
短歌を読み、評する時のポイントをご紹介します。

そして、現代のものを中心に、歌を一首ずつ紹介し、解説していきます。
助詞のひとつひとつまで丁寧に読んでいくことで、言葉の見え方が変わってくるはずです。

また、一首単位で読むだけでなく、連作の中で読んだり、歌集や歌人という視点から読んだりと、様々な読みのモードを開いていきます。
「短歌ってどう読んだらいいのかわからない」という方も、よかったらまずは聞いてみてください。
「なるほど」と思ったら、あるいは「いや、私の感じ方は違うな」と思ったら、それはあなたの目が短歌に対して開かれた証です。

「詠む」ことには興味がないけど、短歌を「読み」たい! という方も大歓迎です。
おすすめの歌集など、本の紹介もしていきます。

第2回 6月8日(水)
講義その2。

引き続き短歌や歌集の紹介をしていきます。
文語の歌や、読むのに前提知識が要る歌など、難しそうに思えるものについても、じっくり解説していくので安心してください。

第2回では、おすすめの短歌入門書などもご紹介します。

【宿題:短歌を作る(自由詠=テーマや決まりなく好きに短歌を作る)】

第3回 6月22日(水)
歌会・自由詠(テーマや決まりなく好きに短歌を作る)

歌会をします。歌会とは、参加者が作った歌をもちより、みんなで意見を言い合う場です。
提出してもらった歌を匿名で並べ、いいと思った歌に投票し、批評してもらいます。
各自の歌に対する批評がもらえ、自分でも他の人の歌への批評ができるようになります。
他の人の短歌を鑑賞し、自分の短歌について他の人が話すのを聞くことで、いろいろな視点から短歌のよさや改善点がわかるようになります。

【宿題:短歌を作る(題詠=事前に決められたテーマ・題に沿って歌をつくる)】

第4回 7月6日(水)
歌会・題詠(事前に決められたテーマ・題に沿って歌をつくる)

歌会をします。今回は題詠(事前に出した題に沿って歌を出すこと)です。
同じ題でもいろいろな短歌の作り方があります。
一人ひとりがどのように短歌を作り、そして読むかを楽しめるようになりましょう。

講座概要

開講日:2022年 5/25(水)・6/8(水)・6/22(水)・7/6(水)
開講時間:19:30-21:30
受講料:¥3000/回
授業方法:zoomによるオンラインワークショップ
部分受講:可
 ※全て1ヶ月間視聴可能のアーカイブをお送りいたします
  歌会のリアルタイム参加が難しい場合も、事前に歌・評をお預かりしスタッフによる代読もできます
  Discord(チャットスペース)にて質疑応答ができます

講師プロフィール

川野芽生
歌人、小説家、大学教員。アセクシュアルのフェミニスト。

セクシュアルハラスメントを題材にした短歌連作「Lilith」で第29回歌壇賞受賞。2020年、第一歌集『Lilith』(書肆侃侃房)出版。翌年、同歌集にて第65回現代歌人協会賞受賞。2022年6月、初の小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』(東京創元社)刊行予定。

平安時代から「短歌といえば恋愛」と言われる中で、恋愛じゃない歌を追究している。
フェミニズムを題材にした歌、端正な文語を駆使した幻想・ファンタジー系の歌が得意。

代表歌

 思惟をことばにするかなしみの水草をみづよりひとつかみ引きいだす

 アヴァロンへアーサー王をいくたびも送る風あり千の叙事詩に

 天上に竜ゆるりると老ゆる冬われらに白き鱗(いろくづ)は降る

 harassとは猟犬をけしかける声 その鹿がつかれはてて死ぬまで

 詩はあなたを花にたぐへて摘みにくる 野を這ふはくらき落陽の指

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