久々に、ここまでヤバいものを見ましたわ。
と、思ったら2012年の投稿がなぜか今になって話題になっているようですね。
Twitterが日本語でのサービスを開始したのが2008年とのことなので、もう12年もたつのですが、仕組み上はこうやって10年近く前の投稿も昨日の投稿も、リツイートされればフラットにタイムラインに表示されちゃうわけです。
さらには、このキャンペーン「マツキヨポリス」のウェブサイトは2020年10月5日現在まだ閲覧可能です。
物持ちがいいなあマツキヨは。
というわけでこれは8年前の広告なのですが、Twitterで掘り起こされ、リバイバル炎上とも言えるべき状況となっています。
とはいえ、マツモトキヨシの公式LINEアカウントのアイコンと語り手はまだ上記のマツポリちゃんのようですし、あながち「数年前に当時の古い感覚で作った広告が掘り返されて炎上しちゃった」というだけの話ではないのではないでしょうか。
マツモトキヨシは8年間、この「マツキヨポリスが女のおさぼりを取締る」というキャラクターコンセプトに疑問を持つことなく、特にアップデートもしないで自社のキャラクターに使い続けてきたわけです。
8年前でも十分ヤバい内容だと思いますが、こうやって多くの消費者の感覚がアップデートされた時代にもこの「遺物」を何も考えずに放置しておくことのリスクは重大だ、ということが、今回のリバイバル炎上で明らかになりました。
ともすると、広告を出してすぐ批判され撤回するよりも、こうして長年にわたり差別的な表現を店頭やインターネット上で垂れ流しにしていたことの方が、罪が大きいと言えるでしょう。
これを見て、各社のコーポレートサイト担当者や広報は、大慌てで自社サイト内に「危険な過去の遺物」が残されていないか探すことになるでしょう。(探してくださいね)
そして、大ごとになる前にそっと消す、というのもいいですが、最も良心的で企業好感度を上げる解決方法は、自分から謝罪を発表しちゃう、というものだと私は思います。
正直、今の時代に8年前の担当者が同じ仕事をやっている可能性はかなり低いと思います。対応するのは当時入社していたかも微妙な、全く関係ない社員かもしれません。
しかし、かつて女性やマイノリティーを差別するような広告やコンテンツを発表してしまっていた企業は、その広告やコンテンツの「何がいけなかったのか」を自ら明らかにして、おおやけに謝罪と反省を述べるのが一番いいのではないかと思います。
現代の消費者のなかには、信頼できる企業からものを買いたい、サービスを受けたい、と考える人が少なくありません。
そして、「反省」を真摯に行える企業こそ消費者の信頼を勝ちうるのではないでしょうか。
もちろん「不快に思われた方がいた」「差別の意図はなかったが誤解された」というのは、反省を述べることにはならないのですが。
「インターネットの遺物」と書いてきましたが、いくらインターネットやSNSの普及で情報の寿命よりも即時性が重視されるようになったとはいえ、多くの人が閲覧できる場所に残っている以上、その情報は「生きている」と言えるでしょう。
情報や表現の発信者は、情報や表現をいかにしてアップデートしていくか、をリリース時から数年スパンで考えなくてはいけない時代が来ているのかもしれません。
・著者プロフィール
吉田瑞季
オタクに夢を売る仕事をしているオタク
演劇・古典芸能・ヤクザ映画・詩歌