30日間の本と音楽(前編)/「あぶないいきもの」特別編(直角)

はじめに

“30 DAY BOOK CHALLENGE”と” 30 DAY SONG CHALLENGE”という企画を見かけた。
毎日のお題に沿って自分の一冊/一曲を挙げていくというものだ。
さっそくやってみた。

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DAY 1

Favorite book in a series(好きなシリーズ本): シャーロック・ホームズシリーズ
この本を読んでからずっと、名探偵になりたいという夢を持ち続けている。

A song you like with a color in the title(題名に色が入った曲): Purple Haze / Jimi Hendrix
イントロから非常にかっこよく惚れ惚れするが、「ちょっと失礼して空にキスします (Excuse me while I kiss the sky)」というところでなんか笑ってしまう。

DAY 2

Favorite book by your favorite writer(好きな作家の、好きな本): ペスト / アルベール・カミュ
文庫本を大事に持っている。やるべきことをやっていこうと思う。しかし、今日このような形で読まれるようになるとは想像しなかった。

A song you like with a number in the title(題名に数字が入った曲): ’39 / Queen
宇宙物理学博士のロックギタリスト、ブライアン・メイが相対性理論について歌っている。そんなうまい話があるか? 好き。

DAY 3

Book you did not finish(読みきれなかった本): 魔の山 / トーマス・マン
結核患者たちが高地の療養所でわちゃわちゃする。自分も病気をした時期に読んだので、病人の生活における喜びと苦しみについて考えた。下巻はまた具合が悪くなったときのためにとってある。

A song that reminds you of summertime(夏を思い出す曲): Hotel California / The
Eagles

中学一年生の夏に初めて訳そうとした英語の歌だ。全ての単語を辞書で引いた。現在完了形はなぜ「have+過去分詞」なのか母に聞いたら「そう決まっているからだよ」と言われた。私は泣いて怒り、結局、訳詞も完成しなかった。その夏と、歌詞の中にあるアメリカの夏を同時に想起する。

DAY 4

Book you remember from childhood(子どものころ読んだ本): にんじんとごぼうとだいこん / 日本民話
好きすぎて全文を諳んじていた絵本。お風呂に長く入ったにんじんはのぼせて赤く、ちょうどいい時間入っただいこんは白く、一瞬しか入らなかったごぼうは土がついたまま黒くなった、というストーリーだった。野菜の色の秘密を解き明かす深遠な内容に惹かれたのだろう。全然解き明かせてないけど。

A song that reminds you of someone who you’d rather forget(忘れたい人を思い出す曲): –
忘れたい人はいない。いたとしてももう忘れている。

DAY 5

Favorite classic novel(好きな古典): 三国志演義 / 羅貫中
どこまでをclassicと呼んでよいのか悩んだが、挙げておく。奇策を用いる軍師の姿に無邪気に憧れていたものだ。コーエーのゲーム「三国志」もプレイした。内政に励み、じっくりと民の忠誠心を上げている間に隣国に攻め込まれるので困る。

A song that needs to be played loud(大音量で流す曲): 交響曲第1番ニ長調「巨人」第4楽章/マーラー
ロックに出会う前、クラシックが私のロックだった。エアギターの代わりに腕を振り回してエア指揮をしていた。シンバルの強烈な一撃から始まるこの楽章は「嵐のように運動して」という演奏指示がある通り、ものすごくうるさい。

DAY 6

Book that broke your heart(悲しい本): ショウコの微笑 /
チェ・ウニョン
一つ一つのお話の中で人が出会ったり別れたりしてそのたびに私が泣く。特に『シンチャオ、シンチャオ』が印象に残った。歴史的な加害と被害について、このような形で小説に描かれているのを初めて見たように思う。

A song that makes you want to dance(踊りたくなる曲): HIP / MAMAMOO
MAMAMOOは推しているK-POPユニット。ファサさんという方が好きだ。この曲を歌えるようになることを一つの目標として韓国語を学習している。YoutubeでMVを見るたびにダンスを真似してみるが、なぜか毎回ふにゃふにゃの奇妙な踊りになる。

DAY 7

Best audiobook to listen to on a road trip(車での旅で聴きたいオーディオブック): Cabin Pressure
BBCのSHERLOCKを見てベネディクト・カンバーバッチさんを好きになり、次に触れた出演作がこれ。従業員4名の小さな航空会社を舞台にしたコメディだ。カンバーバッチさんがおっちょこちょいな機長の役を完璧にこなしていてたまげた。笑っちゃって運転できないかもしれない。

A song to drive to(ドライブ中にかける曲): 夏が来る / 大黒摩季
エンジン音に負けないくらい大きな声で歌う必要がある。今見ると歌詞がめちゃくちゃで笑う。「近頃周りが騒がしい 結婚するとかしないとか 社会の常識・親類関係 心配されるほど意地になる」……普通J-POPの歌詞で「親類関係」って言うか?

DAY 8

Series everyone should read(みんなが読むべきシリーズ本): 興亡の世界史シリーズ
みんなが読むべき本というものがあるものかどうか。
理系に進学した途端、歴史を全然勉強しなくてもよくなって不安だった。歴史は知っておくべきものという観念が頭の中にあったのだ。そんなときに世界史の先生に教えてもらったシリーズ。興味ある巻しか読んでいないから、ローマ皇帝のおもしろエピソードについてだけやたらと詳しくなって終わった。

A song about drugs or alcohol(ドラッグか酒についての曲): Lithium /
Nirvana
句作のためにLSDを用いる俳人もいるが、自分はドラッグを使用したことはない。

DAY 9

Favorite book to give as a gift(プレゼント用の本): 詩の向こうで、僕らはそっと手をつなぐ。 / 川口晴美・編
BL好きな人にとりあえずこの詩集を贈っている。

しやうがない奴 武者小路実篤
「しやうがない奴だ」
「さうだ、しやうがない奴だ」
「君がだぜ」
「さうだ、僕がだ」

読みたくなっただろう。

A song that makes you happy(楽しくなる曲): C Jam Blues / Red Garland Trio
3歳くらいのときに踊りまくってた曲。中盤、ウッドベースがソロを取るころには疲れて一旦床に寝転ぶが、最後のテーマに戻るところでまた踊りまくる。無人島に持っていく8曲のうちの一つに数えている。無人島で暮らすためには幸福な思い出が必要だろうから。

DAY 10

A book that makes you cry happy tears(嬉し泣きする本): いのちの初夜 / 北條民雄
基本的に嬉し泣きをしない。だがこの短い話を青空文庫で初めて読んだときは泣いたと思う。その涙には確かに、いくらかの嬉しさが含まれていたと思う。

A song that makes you sad(悲しくなる曲): 俺ら東京さ行ぐだ / 吉幾三
原曲の訛りに忠実に歌うとみんなが笑うけれど、原曲の訛りに忠実に歌えるという事実こそが、この歌が私自身の歌だということを意味している。ちなみにテレビとラジオはあった。

DAY 11

Literary character you want to have dinner (or drinks!) with(一緒に食べたり飲んだりしたいキャラクター): ホン・インピョ(保健室のアン・ウニョン先生 /
チョン・セラン)
古い本が好きだけれど、登場人物と実際に話してみたら価値観が合わないだろうとは思う。この本は新しい。
漢文教師のインピョは、主人公の養護教諭/霊能力者ウニョンをサポートする役回り。私はどうも主人公の相棒を好きになりがちだ。彼は温厚で、ちょっと古風で、なんといっても親切だ。食事は親切な人とともにしたい。

A song you never get tired of(飽きることのない曲): ゴルトベルク変奏曲 / グレン・グールド(J.S.バッハ作曲)
心身が緊張して眠れないことが多い。寝る前に必ずこの曲を流して条件づけの訓練をした。それ以来、この曲を聴くとパブロフの犬のように眠くなる。何千回も聴いている。

DAY 12

A “popular” book you hate(「有名」だが嫌いな本): 海辺のカフカ / 村上春樹
「有名だが嫌いな本」で村上春樹を挙げるのはありきたりにも思えるが、先日読み返したら”ヒステリックなフェミニスト”と”物分かりのよいゲイのトランス男性(?)”を対決させる描き方にびっくりしたのでやっぱり挙げる。

A song from your preteen years(9歳から12歳ごろに聴いていた曲): –
この時期はあまり音楽の記憶がない。

DAY 13

A book with a color in the title(題名に色が入った本): 黄色い部屋の謎 / ガストン・ルルー
科学捜査などなかった時代の古典ミステリが結構好きだ。中でも密室ものにはロマンを感じる。1907年の作品ということもあり荒削りな部分もあるが、なんでやねんと言いながら読むのもまたよい。ちまちまアリバイを崩したりするより、多少大味でも大胆なトリックが自分には合っている。

A song you like from 70s(70年代の曲): Fireball / Deep Purple
クラシックロックをよく聴くので、60〜70年代にお気に入りが集中している。中でもDeep Purpleは勉強中によくかけていた。うるさい。

DAY 14

A fairy tale retelling(おとぎ話の翻案): お伽草子 /
太宰治
以前、鎌倉の宿に泊ったとき、太宰が心中未遂をした場所を順に訪れているという熱狂的なファンにお会いしたことがある。自分は太宰には少し苦手意識があるが、中期の作品は明るくユーモアがあって、嫌いではない。小説が上手だと思う。

A song you’d love to be played at your wedding(結婚式でかけたい曲): 8つの演奏会用エチュード Op.40-3 トッカティーナ / ニコライ・カプースチン
結婚式の予定は今のところないので、代わりに私が名探偵になったときのメインテーマを挙げておく。この曲にふさわしい推理ができるよう、普段から訓練を積んでいる。香水の種類をやたらに覚えたりとか。

DAY 15

A book that makes you cry sad tears(悲しくて泣く本): 幸福な王子 / オスカー・ワイルド
確認のためにもう一度読んだらもう一度泣いたのでこれは確かだ。鳥を好きになってしまってから余計に涙が止まらない。自分はラストシーンを救いと感じないので、単純に悲しい。

A song you like that’s a cover by another artist(好きなカバー曲): Eleanor Rigby / Aretha Franklin
聴き慣れた曲だが、このバージョンは覇気があってよい。これが、ソウル……?となり、アレサの歌をいっぱい聴いた。

おわりに

DAY 16からDAY 30はまた今度。

・著者プロフィール
直角
インターネットレズビアン
Twitter:@ninety_deg

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