講師:暮田真名
2020年に刊行されたアンソロジー『はじめまして現代川柳』(書肆侃侃房)をはじめとする何冊かの本や川柳句集によって、「サラリーマン川柳」や「シルバー川柳」とは異なる短詩の一ジャンルとしての川柳が知られつつあります。
しかし、依然として多くの方にとって川柳とは、謎の文芸、つかみどころのない文芸として存在しているのかもしれません。
もしもあなたが川柳という詩型の魅力を知らないままになっているとすれば、それはとてももったいないことです。
川柳とは、自分がなにものであるかをプレゼンテーションすることなく、じかに言葉に触れることができる詩型。
自分のねらいのために言葉を斡旋するのではなく、時には言葉によって書き手自身が変形させられることを迫る詩型。
自分の思考や感情の正確な表現よりも、むしろ勇敢な間違いをこそ祝福する詩型。
聞き分けの良い大人であることよりも、ものわかりの悪い子どもであることに親しい詩型。
私はこのようなまぼろしを川柳という場に見て、いまも見つづけています。
本講座の第一の目的は、いま川柳が気になっている方に川柳の世界に親しんでもらうことにあります。
受講される方には、暴徒のように積極的に、川柳の楽しみを味わってほしいと願っています。
第一回「全現代川柳史」
7月12日(火)19:30-21:00
そもそも「現代川柳」とはいったいなんでしょうか。Webサイト「川柳本アーカイブ」を活用しながら、現代川柳の歴史を概観してみましょう。
【宿題:講座の最後に提示する写真の空欄に好きな言葉を入れる】
第二回「川柳を作ろう」
8月9日(火)19:30-21:00
自分で川柳を書いてみると、川柳との距離がぐっと近づきます。講師の川柳の作り方を可能な限り丁寧に解説します。
【宿題:テーマを設けて川柳を3~10句作る】
第三回「連作を作ろう」
9月13日(火)19:30-21:00
何らかのテーマを設けることが句作の推進力となる場合があります。連作の作り方にはどのようなものがあるのか、具体例を挙げて説明します。
【宿題:自分が今までに作った川柳のなかからいくつかの傾向を探す】
第四回「句集を作ろう」
10月11日(火)19:30-21:00
作った川柳がたまってきたら、句集のかたちで発表してみましょう。私家版の句集二冊と『ふりょの星』(左右社)をまとめた経験から、句集の作り方についてお話します。
暮田真名(くれだ・まな)
1997年生。「川柳句会こんとん」主宰。歌人の大橋なぎ咲さんとのユニット「当たり」。
第一句集『補遺』、第二句集『ぺら』(ともに私家版)、川柳句集『ふりょの星』(左右社)。
『はじめまして現代川柳』(書肆侃侃房)入集。
【暮田真名選・川柳7句】
はじめにピザのサイズがあった/小池正博
かあさんを指で潰してしまったわ/榊陽子
おはようございます ※個人の感想です/兵頭全郎
藤という燃え方が残されている/八上桐子
すみっこでわたしはなにをされてるの/竹井紫乙
きみの静脈変よ、誕生日みたい/平岡直子
かつがれて春の小川になってゆく/なかはられいこ
【暮田真名自選5句】
寿司を縫う人は帰ってくれないか
かけがえのないみりんだったね
飴色になるまで廊下に立っている
後半で食物連鎖するとはね
体温でアバンチュールがぱさつくの
開講日:7月12日(火)、8月9日(火)、9月13日(火)、10月11日(火)
開講時間:19:30-21:00
受講料:¥3000/回
授業方法:zoomによるオンラインワークショップ
部分受講:可
全てアーカイブでの参加可能です